「アメイジング・グレイス」という賛美歌は、ジョン・ニュートンという18世紀のイギリス人が作ったということを前に述べた。このニュートンについて調べてみると、神を知る前のこの人が実にとんでもない人物であったということがわかる。そもそも奴隷貿易で一儲けをたくらむ面々に人間性を求めることが最初から間違っているかもしれない。当時の奴隷貿易はイギリスの巨大産業で、植民地アメリカやインド等のプランテーションへの労働力提供により、イギリスに巨万の富をもたらしていた。ニュートンが奴隷船の船長であった頃は、この産業がひとつのピークを迎えていた頃と思われる。なお、あまり幸せでなかった幼少期を送ったニュートンは勉強が嫌いだったようで、同じく奴隷船の船長であった父親と同じ道を歩むようになる。詳しくは以下のサイトに波乱万丈の人生を送ったニュートンの伝記が載っているので、ぜひご覧いただきたい:

ジョン・ニュートンの人生(by WORLDFOLKSONG)

 「アメイジング・グレイス」の原曲の歌詞を読んでみると、ニュートンが神を知り、悔い改めた状況が良く伝わってくる。特に、以下のくだりは大変味わい深い:

Amazing Grace, how sweet the sound,
   驚くばかりの恵み、なんてやさしい響き、

That saved a wretch like me.
        私のような惨めな者を救って下さった。

I once was lost but now am found,
   かつてはさまよっていた、しかし、今は見つけられた、

Was blind, but now I see.
        かつては見えなかった、しかし、今は見える。

 漏れは、この「かつては見えなかった、しかし、今は見える」という箇所がものすごく好きなのだが、これは、正直なところ、「神を知る」という回心を経験した人でないと理解できない箇所だと思っている。本当は罪だと知りながら非人道的な仕事を行っていたニュートンが、死にそうな目に会って神に拠り頼み、救われて回心したことを歌ったところだが、これは、同じような経験をしないと理解が難しいかもしれない。

 とどのつまり、「アメイジング・グレイス」とは、かつての荒くれ者ニュートンによる回心と悔い改めの歌であり、このメッセージが200年近くに渡って世界中のキリストの教会で歌われてきたのである。賛美歌には、作者それぞれの信仰告白が大なり小なり表現されているが、この「アメイジング・グレイス」などは好例であると思われる。なお、「アメイジング・グレイス」以外にも、実にドラマチックなストーリーを持つ賛美歌がたくさんあるので、機会があればご紹介したいと思ったりしている。

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Column "Hitorigoto"

Vol.24 「アメイジング・グレイス」という歌の話 Part3